虫送り(大石田)


mushiokuri

 この行事をデンバラ虫などとも呼んだ。かつてはサナブリの土用次郎に行ったが、近年は7月の第2土曜日に実施する。小中学生のうち上級生が中心に実施する。
 手持ちの提灯は50個ほど作るので約1か月半前から夜間に公民館に集まる。以前は各家から集めた古提灯と蝋燭でまかなった。最近は当日にまとめて作っている。大石田地区では三角形の虫籠を作る。現在は親たちが作るがかつては男の子が骨組の雑木を伐り出し、女子が周囲を葺くための「デンバラ虫の草(メドハギ)」を採取し、仕事当日に虚空蔵様の近くの広場で組み立てた。
 虫籠のグシには小旗を何本も立てる。かつては行列に加わる者は提灯ではなく小旗を手にした。これは細長い紙に「悪虫送り」と墨書したものを竹の棒に下げたものであるが、かつては旗の上下端に付けた葦にデンバラ虫の花(タチアオイ)を押して飾りにした。小さな子どもたちは青虫やてんとう虫、毛虫などを袋に集めて持参し提灯と交換し、虫籠に納める。
 夜になると集落の上手に集まり、風船や紙飾りを下げた竹を先頭に、虫籠、提灯を持ち綱を曳く子どもたち、最後尾には太鼓を載せたリヤカーが付く。
 リヤカーは雑木を建て提灯などで飾り付けをする。先頭の竹は、もとは貰い受けた提灯を下げた雑木であったという。太鼓の音に合わせて掛け声をかけながら行列し、集落の下手に到着すると虫籠や提灯などを燃やす。以前は前の沢の川そばで燃やした。
 掛け声は戦前は「でんばら虫おーくれよー、何虫おーくれよ」だったが、その後「おくれやい」と変わり、さらに昭和30年から40年にかけて、掛け声の合間に「それ」と加えるようになった。