石坂の夜泣き地蔵


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石坂の一番奥はほの暗い杉木立である。右手には大きな岩が積み重なるようにして山を形作っている。その岩の一部が削られ、深い窪みのようになっている場所に「夜泣き地蔵」が安置されている。周囲の岩の中で際立つ白さの石像。鼻筋の通った端正な表情をしている。その隣に自然石が一体寄り添っており、どちらにも赤い帽子や前掛けが幾枚も重ねられている。建立時期は不明。

 昔、赤ん坊の夜泣きがひどいとおぶってお参りに行き、地蔵の帽子と前掛けを赤ん坊に着せた。夜泣きがやむと新しい帽子と前掛けを縫ってまたお礼参りに行ったという。この他にも子供や孫が丈夫に育つようにとの願いも込められている。

<奥会津書房『三島町散歩』より>