木造聖徳太子立像
西方地区の西隆寺には秘仏として木造の聖徳太子像が安置されている。所伝によると、徳一大師の教えを受け、同寺開山の遠祖となった安竹が弘仁2年(811年)、西方地区稲荷原に建てた「松竹庵」にこの像を奉ったという。現在、太子像を納めた厨子は閉じられているが、篤信者から希望があれば随時開帳している。
太子像は一木造り、高さ3尺3寸(約1メートル)あり、年月を経て黒ずんでいるが、所々に朱が残っている。また、背中の部分に開けられた長方形の穴は木蓋で塞がれており、何かの彫り物あるいは種子を納めていたらしい。木蓋には「弘仁二辛卯天二月作」という文字がノミで刻まれている(観應二辛卯天二月作と解読する説あり)。
同寺の住持だった故遠藤太禅師は『西隆寺法燈』の中で、「(この像は)」純粋さと童心に満ちた様相」をしており、「古代宗教の息吹がしみじみ強く感じられている」と評している。
<奥会津書房『三島町散歩』、西方地区地域づくりサポート事業実行委員会『西方の記憶―つなぐ』より>