十王堂


十王堂 (2)
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 「地蔵堂と吉野桜」で地区プライドにも指定されている地蔵堂には、延命地蔵菩薩と共に閻魔王に代表される十王とおぼしき像と末席におんば様が祀られている。十王堂という額があるが地元の人は「お地蔵様」などと呼んでいる。

 祭壇の中央には地蔵菩薩、向かって右には聖観音菩薩がそれぞれの厨子に収まっている。後ろに十一体の赤い帽子とよだれかけ、着物を着た木像が並んでいた。一体の帽子を脱がせてみると頭に十の文字が入った冠をかぶっている閻魔王。よだれかけと着物を脱がすと、あばらが浮き出て垂れ下がった乳房がみえるおんば様も安置されていた。帽子をとってみると笑っているように口を開いた表情。奪衣婆(だつえば)という恐ろしげな名には似つかわしくない穏やかでかわいらしい顔立ちをしている。

 ある家の屋敷地蔵であったが、近年は小山地区全体で管理している。4月24日の縁日には皆でお参りし、年によってはお坊様にお経をあげてもらう。最近は4月24日の縁日ではなく、5月の日取りのよい日にお参りすることもある。

 住民はこのお堂を「イボガミサマ(疣神)」「イボトリ地蔵様」としても信仰されおり、他地区からも疣ができると参拝し治癒を祈ることもあるという。また夜泣きにもご利益があると、夜泣きする子のある家の者がお参りに来ることもあった。

<奥会津書房『三島町散歩』より>