初午
初午の日(2月最初の午の日)に行われる行事で三島町では桑原、大谷、西方の3地区で登録されています。大谷地区の鳥海で初午に行われる「ワラダ転ばし」は、主に養蚕の豊作を祈願する年占の行事の一つです。初午の前日、家ごとに藁でお盆状のワラダ(※)を一つ作り、これに繭玉と呼ぶ繭の形をした団子、そのほかに赤飯・小魚の干物・炒り豆を入れます。当主は子供を連れ山の中腹にある稲荷神社に行き、ワラダを供えて拝み、集まった一同で直会をします。翌日の初午には、家族揃って稲荷神社に参拝、前の日に供えた供物を「御護符」として直会の際にいただきます。
直会の後、子どもたちはワラダを社殿前の参道から約10m下にある鳥居めがけて転がします。参道の雪は凹凸があり、途中で倒れることもあります。鳥居の下を3回くぐらせることができれば、その年は吉とも養蚕が豊作になるとも云われます。
桑原の初午もワラダに供物を入れ、稲荷様に参拝する大谷地区に似た行事ですが、西方地区では大きく異なり、各家で塩をお互いに貰い受けユルイ(囲炉裏)に埋めることで火伏せとする行事が初午に行われていました。
※ワラダはコドノサマ(蚕)を飼育する養蚕で用いられた器のこと