三島の民話 六地蔵様
六地蔵様
昔むかし村外れにお爺さんとお婆さんがおったとサ。
お爺さんはとっても働き者。朝早くから夜遅くまで笠や蓑をつくっておったそうじゃ。
ある日お爺さんは近所の村へと笠と蓑を持って売りに出かけたそうじゃ。途中まで行ったら大雨になり、自分よりも六地蔵様が頭からビショぬれになっておる。それに気づき、持って行った笠と蓑を着せて家に帰った。
「婆さんや、婆さんや。今日はゼニには一銭にもならず、あの雨なもんで六地蔵様に着せたよ」と言うと、お婆さんも大喜びだったそうじゃ。
それから二、三日後のこと
「爺の家はどこだんべぇ」
「婆の家はどこだんべぇ」
「ヨイショ コラショ」
表の方で呼んでおるので、二人はオッカナ声も出すこともできず、すくんでおったそうじゃ。
やれやれ夜明けになった。お爺さんが戸を開けると、それそれ、米俵が山積みに。
「婆さんや、婆さんや、早く早く」と言って二人はただ手を合わせるばかりだった。これは地蔵様がお礼として運んだので、二人は一生楽にくらしたそうじゃ。
掲載協力 鈴木フミ子さん(桧原)