三島の民話 数え唄

数え唄

「ひとつ火鉢で」

一つ火鉢で焼いたもち

二つ福ふくふくれもち

三つ見事なきなこもち

四つよごれたあんこもち

五つ隠居のかぶれもち

六つ娘の土産もち

七つ名古屋の納豆もち

八つ山中の牛蒡っ葉もち

九つこめらの出っせぇもち

十はとっつぁまのかざりもち

掲載協力杉本ミツイさん(桧原)

 

「正月せぇ」

 正月せぇ~障子あければ万歳のぉ

鼓の音やら唄の声~唄の声~

 二月とせぇ~二階に居るのは高等科~

下に居るのは尋常科~尋常科~

 三月せぇ~咲いた桜は美しく~

飾ってみれば内裏様~内裏様

 四月とせぇ~死んでまた来るお釈迦様~

竹の子開けば袖お釈迦~袖お釈迦~

 五月とせぇ~ごんぼ畑に菜を蒔いて~

お正月来るのを待って居る~待って居る~

 六月せぇ~ろくに田の草とらないで~

二番三番取っている~取っている~

 七月せぇ~質屋の番頭さんは忙しい~

質においたり流したり~流したり~

 八月せぇ~ハチに刺されて泣いている~

何か薬ははあるまいか~あるまいか~

 九月とせぇ~草の中には何がある~

匂いのはげしい菊がおる~菊がある~

 十月せぇ~重箱かついでどこへ行く~

これは姉さんのお土産に~お土産に~

掲載協力 阿部マサエさん(桧原)