三島の民話 瓜姫
瓜姫
むかしむかし、あったど。
長者の家さ、女の子がうまっちぇ、大喜びだっけど。たいそうきれいだから、瓜姫とつけやったど。
大きくなるたびに、ますます美しくなるもんだから、長者様からお嫁にくれと言われたど。したが裏山に住むアマノジャクは、瓜姫んどこ食いでえど思って見ったど。
「よーし、瓜姫。何とか食ってやんぞ」
いよいよ式も間近になって、いっつも柿の木に登って様子見てだアマノジャクは、みんな外さ出たすきに、家ん中さ入って、花嫁道具全部風呂敷さ包むどしてたど。したらば瓜姫もどってきて、花嫁道具持っていがんにぇように取り戻したそうじゃ。
さて祝言の日、村の人たちは、どんなにかきれいな花嫁かと思って集まったど。したがあのアマノジャクにかかって、瓜姫ははだかにされ、柿の木にしばらっちぇ、アマノジャクは花嫁の支度して、馬さ乗り、行列は行ったど。したらば見ていた子どもたちが言ったど。
瓜姫の 乗る馬に
悪女が乗っとったぁ
瓜姫と いう人は
柿の木に 下がってる
早く 悪女をやっつけろぉ
大きな声がすっから、見てみたら、花嫁着物を着たアマノジャクが乗っていたので、ヤーヤーと取り押さえて、ひでぇ目にあわせたど。
瓜姫は良いお嫁さんになったどさ。
ざっとむかし、さげだ。
掲載協力者 鈴木フミ子さん(桧原)