三島の民話 白スズメ

白スズメ

むかしむかし、あったど。

田畑も山もあり、牛もいっぺぇ飼って何不足なく暮らしてた百姓があったど。しかし、そのうち田畑のつくりが悪いべし、牛も減ってきて財産が減っちまったど。

心配しったどごさ友達やってきて、天気も良いがぁ、山さ行ぐべぇちゅう。ふたんじぇ(二人で)山のすってんぺんでいろいろ喋ってたら、

「おい、白スズメがいっぱいおるそうだが、見たごどあるかい」

「ねぇなぁ」

「その白スズメは作物荒らして百姓だぢ困ってるそうだ」

「本当に白スズメいるのか」

「いるそうだ。その白スズメ見つけっと大変幸せになるそうだぞ。しかし、白スズメは朝早くでないと姿見せねえそうだ」

「そうかぁ。俺は朝寝坊だがぁ、白スズメにやらっちゃのわがんねで寝てただべぇ」

次の日から朝早く起きて白スズメ探したど。何日も探したが一羽もめっかんねぇ。

「本当に白スズメなんどいんのが」

思案して早起きしてだど。したらば

ある朝、裏から下男が米俵かついで出ていった。「はて?」と見てたら水車小屋で米ついて酒屋の酒代払いさいったど。次の朝、今度は牛小屋がら乳しぼって桶たんがいて出てきたど。「ほぉ?」と見てたら、その乳で呉服屋がら着物買ってきただど。

「いやいや奉公人がこうだ悪いごどしてだのに、気づかねえでいた俺がだめだったなぁ」

そう思って、かかあに言ったど。

「朝寝坊ほど損なことはねえ。俺たちが寝てる間に奉公人がこうだごどしてただ。財産減るのは当たり前だ」

悟った男は朝早く起きて仕事するようになったがぁ、財産も戻ってきたど。そうこうしてるうちに半年たち、あの友達が訪ねてきたど。

「おぉい、白スズメ見つかったがぁ」

「あぁ、あぁ見つかったども。お前のおかげで白スズメ見つけることできたよ。ありがとうなぁ。ありがとう」

ちゅって、手取り合って喜んだど。

ざっとむかし、栄え申した。

 掲載協力者 故五十嵐ミヨノさん(西方)