三島の民話 盗まれた観音様
盗まれた観音様
この浅岐にはなぁ、ずいぶん昔から村の下手の神社に、なんと七体の観音様がおられたぞぉ。霊験あらたかな観音様だったからなぁ、おもしぇ話があんだぁ。
さてある時、乞食がきてな神社さ泊まったでもあんべぇ、七体の中から一体の御像を盗むど、夜の夜中逃げだどぉ。村はシ~~ンとしてべぇ、泥棒はドキドキしながらギッチリと観音様抱いて村上の外れまで来て一服したじゅうだ。
「ああ~ヤレヤレいい案配ぇだ。こんじぇひともうけ出来る。」「さぁて此処までくれば、後はさすけねぇ」腰上げて出掛けべぇどしたら
「ん?あ~っ?なんだなんだ?重でぇ、動くよねぇ」
観音様が重だくてハァ重だくて観音様おろすべぇどしても体がらはなんにぇだど。
「かんべんしてくんつぇ~悪がったぁ~観音様ぁ~」
泥棒は本気になって謝ったどぉ。泣き泣きあやまった。したらば観音様は泥棒のひざ元がら落ちてコロコロ川ん中さころげ落ちっちまたどぉ。いやはや、乞食泥棒はおっかながって逃げてったど。その観音様が神社がら無くなったのもわがんねぇで居たある日の事、村の男が川端通るど、川ん中がキラキラ光るちゅうだなぁ。
「あれっ?なんだべぇ」ジャボジャボ水ん中越えて光る物たんがったど。
「あれっ?これはあそこの観音様だぁ」大騒ぎで村さ教えだど。
「やれやれ、良かったなぁ。良かった」どって、霊験あらたかな観音様は、元の神社んどごさ納めだだど。
これは伝説だなぁ はい
おしまい
元話 角田サクヨさん(浅岐)
若林キクヨさん(浅岐)
再話 五十嵐七重さん(西方)