三島の民話 やきめしかぶり

やきめしかぶり

ざ~っと昔あったどぉ

ある処に、何くれぇ身上持ちで、まぁ嫁ももらわねぇで欲深な男いだっけどぉ 

こんな雨のふる晩方ぁきれぇなおなごの人来ったど

「こんばんわ~雨にふらっちぇ道はわがんねぇべし ほとほと困っちまった。どうが一晩とめてくんつぇ」

「なぁやれ それは困ったべ。食い物は無ぇが泊まるだげなら良がぁべ。よれ」

どって泊めてやっだどぉ。

それが明日になっても明後日になっても出てぐふう無ぇだど。まぁ飯も他の物もくわねぇで、しぇんけで稼ぇでくれっからな。何もかも良ぐ気がきいて、家ん中ちゃんちゃんとやってくれんだど。んじゃがら男は泊めでおいだどぉ。

なんちゅったたって男の食い物はこしゃってくれるが、我がはなっても食わねぇで稼ぐがら置いだわげだべぇ。

「おいあの女いつまで置くだ」となりの人心配して聞くだど

「飯は食わねで稼ぎはきづいがら置げべぇ」男言ったど。したらとなりの人

「にしは朝から仕事に出て夜はくだびちぇすぐ寝っちまぁべわぁ。俺ぁきんなコソッと見たぞ。したらば大っきな釜さまんまでっこら炊いでぇにぎりまんまにしてなぁ頭のてっちょうがらガラリどにぎりまんまかぶっただぞぉ」

となりの人ふるえながらしゃべんだど

「せぇがらなぁ大釜のにぎり食っちまぁど大蛇になっただぁ。大蛇ちゅうのは化げんだどぉ」男もふるえっちまったぁ

「ウソだど思ったら屋根の上がら見でみろぉ」教えらっちぇ男は次の日仕事さ行ぐふりして屋根さ登ったわげや。

したらばやっぱ同じくまんま炊いで握っと頭がらかぶっただどぉ。でっこら食っちまぁど大蛇んなったどぉ。はぁぶったまげだ男は、屋根がらズリごげで逃げだ逃げだぁ~~したらば大蛇追っかけてきたどぉ。魔物だものハァ男はデンデン逃げる大蛇はズルズル追っかける

男はハァ切なくてヤブん中さかくっちゃどぉ。ヤブはショウブとヨモギの藪だっけど。追っかけてきた魔物は、そのヤブん中さ入ったけが、ウウ~~っちゅうど死んでしまったどぉ。

やれ大蛇はヨモギとショウブが毒だったがら、死んだそうだ。

ざっとむかしがさげだ

元話 故小柴モトさん(西方)

再話 五十嵐七重さん(西方)