三島の民話 小僧さんと坊さん
小僧さんと坊さん
ざっとむかしが あったどぉ。
あっとごで小僧さんのどごさ、もらわっちぇっただどぉ。
したら、そごは坊さんでなくて、鬼じじど鬼ばばが居だだどぉ。小僧さんぶったまげだわやれ、なじょがして逃げんべど考えでだどぉ。
夜中なっと、鬼じじど鬼ばばがいっぺんに寝っからなぁ~おっかねぇの。
「ゴソッ ゴソッ」長~~いベロだして、小僧さんの背中ぁ「ズラズラ~ッ ズラズラ~ッ」どってなめんだどぉ~
「いやいや おっかねぇなじょしたら逃げられんべぇ」
なめられながら小僧さん考えだどぉ
「おばばぁ おばばぁ バッコ出だぐなったぁ」
ビグビグ言ったんだぁ
「ああ~ バッコがぁ。こごさたいよ」
「こうだ布団の中さたいやんにぇ」
「さすけねぇ たいよぉ」
「なんぼうなんでも 布団の中さはたいやんにぇがら、便所さやってくんつぇ」
「そんじゃら たっちゃらすぐに戻れよっ」
したら鬼じじは、小僧さんの腰さひもゆっつばって
「そら 行って来ぉ~」
ったどぉ。小僧さん便所さへえっと
「こんぞぉ こんぞぉ まぁだぁがぁ」
「まぁだだぁ~」
ちゅうど、急いでひもほどいで逃げだどぉ。似せ坊さんは、
「まぁだがぁ~ まぁだがぁ~」
切らさず言ってからにげだどぉ。
わっしょ わっしょ 逃げだどぉ。したらば、明りポポポ~~~ッと見えだがら
「助けてくんつぇ~~助けてくんつぇ~~」
どって、どんどん どんどん とんだのなぁ。
明りんどごさ着ぐど
「寄せでくつぇ 早ぐ~~」
そごは、本物の坊さんの寺であったがらなぁ、助けらっちぇ ほんに、安堵したごどやれ。
ざ~~っと むかしさけだ
元話 故秦テイさん(大石田)
再話 五十嵐七重さん(西方)