三島の民話 弘法あさづき
弘法あさづき
むかし昔のその昔ここら辺りの雪解けの節…弘法大師様なぁ七折り峠のてっぺんさ立っちゃったどぉ
「あれあれ何と貧しい村々だなぁ~朝餉の支度煙りもたってねぇ~煙の立つ家はポツポツだ。汁さ入れるお菜もねぇのが」
ボソボソ独り言いいながら、柳津がぁ滝谷ど、入ってこらったど。どごの村たんねでも、あっちこっちの雪とげでも、ねっか何も食われそうな草も生えでねぇだど
「やれやれ雪が解げだらなぁ~楽しみにしてべぇに~…何とかしてくっちぇなぁ~」
弘法大師様なぁ~首コックコックしながらもどらっけど。
奥会津の人だれは、だっちぇも弘法大師様になのえっきゃってながったどぉ。
したがなぁある朝 村のてぇ起ぎたらな、たまげだどぉ~。んじゃってなぁ雪の消えたどごさポツポツポツポツ黄緑のめんこい草の芽が出でだぁど。採ってみっと、良い匂いしんだど。食ってみっかどって、生で食っても、煮で食ってもんめぇぇだどぉ
「わーー食ってみっせ食われんぞぉ~」どって たちまちふれまわって、どごの家のみそ汁さ入っちゃり、浸しにしたり、食うようになっただど。
何でもなぁ弘法大師様が七折り峠がらこっちの方さ、あさづきの種バラバラーーーッ蒔いてくれやっただどぉ。
雪解け一番ものに
「よっぱら食って、元気に稼げよぉ~」どってな。有り難ぇごどだなぁ。
ざっと昔さげぇ申した
元話 五十嵐フミエさん(大谷)
再話 五十嵐七重さん(西方)