三島の民話 へびむこ入り

へびむこ入り

あったけぇどー。じさまどばさま やったどー

嫁が機織りしてっと 毎日まいにち きれぇな男 遊びさきぃきぃしったけどぉある時なぁ 隣近所の人が 

「いっつも若ぇ者が来るわ」ど思って こそっと家ん中見っただどぉ 

したらば つっとさっとたまげだんねぇ〜 機織りの桂さ ヘビからまってで娘は快ぐ エッコエッコしゃべってんだっけど。

よぐよぐ見でっと そのヘビは娘のそばさ行ぐづぅど、きれぇな男になんだどぉ

「やれ こまったぁ。 ヘビにつかっちぇんだわ。 大ごどだぁ」

隣の人 じさまどばさまさしゃべったどぉ。

「じぃも ばぁも ねっか解んねがったべが、おれ気にしっただわ。いっつも娘どごさ男来てだだ。人間でなくてヘビだっけぞぉ。ヘビは黒鉄が嫌いなんだがら、着物の裾さ針縫い付げろぉ どって嫁さ言え」ちゅっただどぉ。 

ぶったまげだじぃどばぁ、嫁さ教えでその通りに付けだどぉ。したら 男は急にやっこぐなって出でったぁ。その後ぼってったら、血たらしたらし行った後あったどぉ。どんどん奥山まで行ったぁら、太ぇ木の洞穴まで血たれであっただわぁ。そしたら、今度ぁ、洞穴がら親の声したど 

「主はなぁ、行ぐなっちゅうに聞かねぇがら、こうだ目に会うだわぁ」どってな

したら息子のヘビが言ってんだどぉ

「おらぁ 命なぐなっても良いだぁ。おれの子めらつけて来ただがら、我の命は惜しぐねぇ」したら親がまた、言ってだどぉ。  

「馬鹿ぁ、そんなものは駄目なんだわ。ヘビの子ひっつげでも五月の節句に菖蒲湯さ入れば、子どもは落ちてしまうだわ」どってな。

それ聞いた娘は、五月の節句に菖蒲湯たてで入ったんだど。そしたら菖蒲湯ん中さヘビの子が出だだど。そいだがら、今でも菖蒲湯たでんだどぉ 

ざっとむかしが さげだ

元話 小柴 モトさん(西方)

再話 五十嵐七重さん(西方)