三島の民話 うり姫
うり姫
むが~し昔 じいさんとばあさんやったどぉ
ばあさん川で洗たくしったれば、おっきな瓜がツンツン ツンツン流っちぇきたど
「ホウしたり 瓜だぁ。じいさんと食うべわなぁ」拾ってっきたど
じいさんと切ってみっと、中がらめごぉいおなんこ出できたどぉ
「ホウたまげだなぁ めごいなぁ。瓜がぁ生まっちゃだもの瓜姫だなぁ」どって育てだどぉ。いやぁ~とでも美すぅ良い女っこになったど。ある日のこと
「うり姫やぁ おらだれは出掛げんなんねぇがら、留守居してろよ」った
「ああーーい、行ってこらんしょ」
「性悪のあまのじゃぐ居っから、絶対ぇ戸開げでなんねぇぞ」そう言って行ったど
案の定、あまんじゃぐ来て家前ぇの戸ただぐだどぉ
「うり姫ぇ うり姫ぇ ちっとで良いがら戸あげろぉ~」そう言うだど
「だ~め じいもばあも開げんなよ、ってったぁも」
「ちーっとでいいがら、おれの指っ先入るぐれぇでいいだぁ」あんまりしつこく言うがら、ほんのちょっと開げだど。すっと、たちまちガァラリ入ってきて瓜姫んどご食っちまっただどぉ。せぇがら、うり姫に化げですまして爺婆どご待っちぇだ
その頃な、うり姫があんまり美しい娘だがらどって、村の長者さ嫁んなる事決まってだだどぉ。んじゃがら、じいだれは花嫁支度いっぺぇ背負って帰って来たのな。
さぁで、お籠さ乗って長者が家さ行ぐ日だどぉ。したらば、小鳥が飛んで来て
うり姫のかごさ あまんじゃ~ぐ乗りこんだぁ
ピッピコピーーーッ ピッピコピーーーッ
歌いだしたじゅう。そんじぇ おかご見だれば あまんじゃぐだがら、みんなしてただいで やっつげっちまたどぉ。
そごは、そば畑であまんじゃぐの血で赤くなったどぉ。今でも、そばの茎が赤いのは、そのせいだど言わっちぇいんだわぁ。
ざっとむかし さげぇましたぞ
元話 故若林キクヨさん(浅岐)
元話 角田サクヨさん(浅岐)
再話 五十嵐七重さん(西方)