三島の民話 羽衣

羽衣

むがぁし あったどぉ

山がら ズ~ッとくだってくっと 良い~水流っちぇんだぁ

炭焼きじい様通りかがっと 天から落っちぇ来た天女達が水浴びしてだど

「は~ なんとも美すぅおなご達ぇだ」木さかけてある羽衣 さぁ~っとぬすんで 知らばぐっちぇ天女達ぇ帰ってぐどごさ行ったど

「こらこら 何泣いでる?」

「わたしの羽衣ない。天に帰られない」

「そうだ裸っこうでらんにぇべ、俺ぇさ来い」って せできて嫁にしたど。

太郎ちゅう子めら できたの。太郎七つになった時 しゃべったど

「太郎 太郎 決して母ちゃんに言うなよ。母ちゃんは天から来た お姫様なだよ。着物ぬすんでかくして置ぐだがら絶対見せんなよ。もし 見せっつうど母ちゃんは天さのぼっちまぁがらな。教えなよ」

まさが息子だがら教えまいど思ってたが、母ちゃんだものなぁ

「母ちゃん 母ちゃんは天のお姫様が?」

「そうだよ 羽衣がなくて帰るよねぇの」

「おれ知ってるよ~ 父ちゃんそんな事言ってだも」羽衣見せで 母ちゃんは太郎ど天さのぼられっちまっただどぉ。

炭焼きがらもどって 子めらもかかもいなくて

「何つうわげだぁ~」泣いでいだど。したらば、ある人に教えらっちゃ

「この木は 天までも届くがんだがら育てろ」ってなぁ。そんじぇ 種蒔いで天までも伸びて育ったがら、のぼって のぼってったど。したが まぁちぃっとで天の国さ手が届くだが、ながなが雲どごおっつがまんねぇ。やっとごすっとご 雲つかめぇで ヒョイッとあがったれば、太郎がいたど

「ああ~ 母ちゃーん、父ちゃん来たよぉ~」母ちゃんと瓜畑にいただど

「父ちゃん よぐ来たなぁ。この瓜食べっとだめだよ」

「そうがぁ、んまそうな瓜 何で食わんにぇどぉ?」父ちゃんは ガブガブ食ったのなぁ~、したらば そごがらムグムグムグムグ雲わいできて「アア アアーーーッ」ちゅっけが下さ落ちっちまっただどぉ。

ざっと むかし さげぇました

元話 故・五十嵐ミヨノさん(西方)

再話 五十嵐 七重さん(西方)