三島の民話 舌切りすずめ
舌切りすずめ
むがし あったぁどぉ。じい様どばあ様やったどぉ。じい様はすずめ めっけで来てめごがってやったど。
ある時 ばあ様洗濯して布張りしんべどして、のりこしゃって糊つけつけ板張りしてだど。したら、すずめがペチャペチャ糊なめでしょうねぇだど。
「この野郎めぇ 大事な糊 あらがだなめっちまって~」ちゅうど すずめの舌切っておっ放したど。じい様山がらもどって
「何だどまぁ~むぞうせぇ事してぇ、なんぼう切ながったべぇ」ちゅうど
すずめさがしに出掛けだど。あっちこっちさがしてだら、川で馬洗ってる人いだど。
「馬洗いさん 馬洗いさん こっちさすずめ来ながったがよ?」ったら
「この 洗い水三杯のんだら 教えますべぇ」つうごんで 三杯のんだど
「川上の方さ 行ったわぁ」ずーっと行ってみだら 木切りしてる人いただど
「樵さん 樵さん この辺 すずめ通んねがったべが?」ったら
「このやぶ くぐって あっちの方さ行ってみらっせ」って教えらっちぇ やぶくぐってったら
「つん つん つん つん」音すんだど。見っと あのすずめも他のすずめもいっぺぇ いただどぉ
「じい様 よぐ来たなぁ。 おれが悪かったぁ。 ばあ様の糊なめっちまった」
そう言うどじい様さ、山のようなごっつぉしてくっちぇ
「土産はどっちが良い?」なんて でっかい箱どちっちゃい箱見せだど
「おらぁ 年寄ったがら 軽いがな良いなぁ」ったら、すずめはちっちゃい箱さ軽い礼なっ まぁ お金だな。 いっぺぇ入っちぇくっちゃど。
じい様 家さもどってしゃべったら、ばあ様好ましがって
「そんじゃら おれも 行ってみべぇ」出掛げでって
「すずめ すずめ おれは まぁだ若ぇがら、重いがな良いなぁ」ったど
「はい はい これ持ってがっしぇ」
背負わさっちゃがな 重だくて 重だくて 途中でおろしてみだらば、瀬戸っかげらや ゴミやら、おっかねぇがななんぞ いっぺぇヤキヤキ出てきて、ばあ様は、やっとごすっとご逃げてきただどぉ。
ざっと昔 さげぇました
元話 杉本ミツエさん(桧原)
再話 五十嵐七重さん(西方)