三島の民話 雪姫
雪姫
ざっと昔が あったどぉ
あるどごに じい様どばあ様どやったどぉ。子ども持ってながったがらなぁ。
「じい様よ こめら居ねぇつうのは さみしな~」
「んだなぁ~ ばあ様よ、夕んべな雪降ったがら、雪だるまでもこしゃぁが」
「なぁやれ 女んこの雪だるまにしんべ」つうど二人んじぇこしゃったど
めんこい めんこい 女んこできたど。かんざしもつけだっど
「なぁで ばあ様。この子 本当の子どもだったら にぎやがになるな~」
「本当やれ なんぼうよがぁべなぁ~」つってだら
「じいちゃん!ばあちゃん!」その雪だるまがしゃべったど
「ありゃ~これは夢んねぇがぁ?」
「しゃべられんのがぁ? 人間になったのがぁ?」ったら
「あい!わたしは雪子!じいちゃんとばあちゃんの子どもになんの!めごがってなぁ」つっただど~
「あらららら~夢んねぇ 雪だるまが雪子になった~!」
「えへへへ~じいちゃん!ばあちゃん!手っこ!」
「おーー よしよし。あいべ あいべ」
「家さいっていっしょにマンマ食うべな~」手っこつないで家さ入ったどぉ
それがらっつうものじい様どばあ様は、うれしくてうれしくて雪子を大事に育てでいだど。言うことは良くきぐし手伝いもしてくれる。夕飯の汁のみ切りなのもやってくれんだど。
したが風呂さわ入っちゃがんねがったど。じい様もばあ様も、雪子のことはわがってっから、よごっちゃ手足もふいでくっちぇだど。
ほんににぎやがで楽しくて幸せだっけどぉ
そのうち春先になっておてんと様あったがぐなってきたど
「雪ちゃ~んあそんべぇ~」友達さそいにきたど
「雪子やれ あそんで来い。せっかぐさそってくれるわ」
雪子が雪だるまだったごどもわすっちぇ
「なぁーほぉれ、行って来い。なんだぁそんなすげねぇ顔して」なんて言うど、
元気のない雪子の手~引いで
「ほらほら行ってあそんで来い」外さ出してやったどぉ
雪子は友達ど雪の消えだどごでてんまりついだり、石けりなんぞしてだっけがいつの間にか
「あれ?雪ちゃん いねぇなぁ〜」
「どごさ行ったべぇ?」
「おーい 雪ちゃーーん 雪ちゃーーん」なんぼう さがしても雪姫はいながっただどぉ。ぽかぽか あったが〜い春のおてんと様に、とけっちまった・・・・・
んだ んだ・・・じい様もばあ様も、ぽかーーんとしていだったど。
ざっとむかしがさかえました
元話 故五十嵐ミヨノさん(西方)
再話 五十嵐七重さん(西方)