三島の民話 ほんとうにあった竹取物語

ほんとうにあった竹取物語 

 ここ間方は、不思議なむかしがあんだよ~。
 おらのおんつぁま達も親達も、大騒ぎして喋ってらったな。
 この村は、お蚕様えっぺえっぺやってだがらぁ~なんでかんで「わらだ」つぅ道具こしゃあのに、竹取さ行ったわげよ。五人組んでな、山さ小屋かげで、あの長ーい竹えっぺ取ってきて、夜に竹裂いで「わらだ」こしゃ~わげよ。
 いろいろ喋りながら囲炉裏のどごでこしゃってだらな、「ホーーッ」つうが「オーーッ」つうが、呼ぶような声したど。
「何だ?にしゃが家んねぇが?」
「ばあ様、案配ぇ悪くて呼びに来たんねぇが?」
「ホーーッ、ホーーッ」「オーーッ、オーーッ」つう。
「熊が?」「いや、熊んねぇ」
心配ぇしながら、手は動かしていだが、囲炉裏の(ほだぎ) 火のついだがな外さぶん投げだだど~。獣がもしんにぇがらな、何回も火ついだ(ほだぎ) 投げだどぉ。
 したらばな~「ユッサユッサ!」木がゆれるっ。小屋も揺れるっ。「ザザーーッ、ザザーーッ、バリバリーーッ、ドスーーン」木がおだれる音したぁ~!
「うわーーっ、おいっ、なんだべぇ?小屋ぶっくれる。」
皆立ち上がったぁ。
「ガァラガラガラ、ドシーーン、バシーーン!」
「ヒャーーッ、山崩れんぞぉーー。」
「逃げんべぇ!家さ行ぐべぇ!」
「おっかねぇ~~っ」
 竹取り止めで五人組、やっとごすっとご村さもどって来ただどぉ。天狗様つうが、ぐひんさまどごおごらせる様なごどしらんにぇだどぉつーっと昔の人だれよぐ喋ってらったなぁ。
 今でもぐひんさま居らっと思うよ。
元話 舟木義晴(間方)
再話 五十嵐七重(西方)
12月9日、間方いきいきサロンで聞かせていただきました。本当にあった話がたくさん聞かせてもらえそうです。サロンの皆さんが、いつでも来てね、もっともっと語りたいと言って下さった笑顔が美しい宝に見えました。(五十嵐七重)